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息子

  • 執筆者の写真: Kayo Takahashi
    Kayo Takahashi
  • 2020年7月17日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月14日

10年前の今日、私はハワイで息子を出産した。

あれから10年経ったかと思うと、感慨深い。


移住してから一年経った頃で、知り合いもそんなにいなくて、心細かったけれども、これから母になるということは、日々体の変化を感じているので、覚悟のようなものは十月十日かけて出来上がって行ったのだと思う。


私は、東京を離れた頃からでしょうか、ふしぎな話ですが、ほぼ毎夜、舞台の夢を見ていた。衣裳が間に合わないとか、なぜか役者になってセリフを覚えてなくて困るとか、いろんな舞台にまつわる夢を毎夜のように見ていた。


どこからかあまり記憶にないのだけれども、妊娠中期くらいかどこかから、舞台の夢を見なくなったように思う。


息子が産まれてからは、光陰矢の如しで、息子が4歳になり幼稚園に入る頃、自分の時間ができるようになって、舞台の仕事のことを考えるようになった。それでひとまず日本にいる演出家に自分の状況を連絡させてもらい、幸運にも、その次の年からお仕事を再開できるようになりました。


息子は今日で10歳になった。彼を見ているとよくこんなに元気に育ってくれたと感謝の気持ちでいっぱいになる。私は2017年は、ほぼ半分は仕事でハワイの家にいることが出来なかった。彼も寂しい思いをしたと思う。2019年、海外公演のため1ヶ月ほど家を離れていて、帰宅した時に、彼は珍しく「ママー!」と言って抱きついて泣いてしまった。彼のギュッと掴んだ腕から、彼の辛さが伝わってきて、心が痛んだ。こんな想いまでさせて、自分は仕事をしているけれども、いつか彼が理解してくれることを、そしてそういう生き方をしている母を見て、彼も彼らしく生き方を選んでくれることを望んでいる。


息子は一度だけ、私が衣裳担当させてもらった演劇を劇場で観た事があります。「イナバとナバホの白兎」という公演で、演出宮城サトシさん、SPACによるパフォーマンスです。

息子は大興奮して、観客席から役者に手を振ったり、音楽に合わせて足踏みしたり、凄まじくノリノリでした。改めてこいつはアメリカ人思った瞬間でした。笑 ちょっとハラハラしましたが、こうやって息子が楽しんでくれたことは、息子にとってもよかったですし、私にも大いに励みになりました。いつか母親がしていた仕事を彼がもっと理解するようになり、子育てを放棄して遊び歩いてたわけじゃなくて、笑 複雑な想いを持ちながらも、息子と遠く離れてもこの仕事をすることを選んだことをわかってくれる日が来るといいなと思ったりします。


ではでは今日はこの辺で。




 
 
 

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